インクジェット用紙覚書
- Toshio Inose
- 2021年1月24日
- 読了時間: 3分
ここ数年、お客様に納品するプリントはハーネミューレにしていた。個人的なプリントにはキャンソン。
昨年から、お客様用のプリントはピクトランの局紙にし、個人用にも局紙を使っている。一時期、お客様用には局紙バライタを使っていたが、手触りの面で局紙に切り替えた。
今年に入って、ピクトリコのホワイトフィルムを納品用に使ってみたところ、思いの外、良かった。白がくっきりとしているので、同時に着物の赤が映える気がする。また、人肌にベースの色の影響が少ないようにも感じた。
で。
さらにピクトリコの用紙を試すことにした。
フォトペーパー、セミグロス(これは以前から持っていた)、スムーズフォト(最も白色度が高い)、月光シルバー、月光グリーン(これはデッドストック)。
現在使っているプリンタは染料、モノクロでプリントした印象は以下。
(カメラはD600にプラナーZFの50mm、M-Eに初代ズミクロン、Lightroomでモノクロ化、プロファイルはプリンタで管理にした。用紙ごとのプロファイルの差異がないように)
気に入ったのは、月光シルバー。黒の部分が背景との分離に成功している。肌のトーンも大人しいが華やかな感じ。次は、デッドストックの月光グリーン。ベースの色のせいかシルバーよりも抜けが悪い気がするが、トーンは綺麗。モノクロなら月光シルバーを使うのが良い感じ。
ホワイトフィルムを冷黒調とすれば、フォトペーパーとセミグロス、スムーズフォトは温黒調。この差は、用紙のベースの色に影響されているように見える。(ベースの白が全く違う)モノクロ用で売っている月光は、これらとも違うベースの色。さらに言えば、これまで使っている局紙は、生成りと言うだけあり白でも黄色味がある。
インクジェット用紙の場合、ベースの白の影響が、各用紙の味となっているのかもしれない。
とは言っても、ピクトリコの用紙の手触りは、ちょっと薄い段ボールみたいで好きではない。厚紙、みたいな。その点、局紙は良い。手に持った時に、良い紙を使っている感がある。
ついでに。
今年に入っての暗室では、フォマ311とベルゲールのプレステージRC1という印画紙を使った。それまでは、オリエンタルのイーグルだったのだが(それ以前はイルフォード 。価格の高騰によりオリエンタルにスイッチ)。
洋物を使った感想。
オリエンタルには戻れない。多少、価格が高くともフォマやベルゲールの方が良い。何が良いか?オリエンタルでは出ない階調が綺麗に出る。具体的には、オリエンタルなら1号か1/2号のフィルターを使うネガでも、洋物なら2号でイケる。黒も締まるし、ハイライトの中にもトーンが残る。ネガとの相性もあるだろうし、昔のオリエンタルとは違うのかもしれないが、硬い紙でプリントに苦労するのは、マゾではないので好きでない。
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