どんな写真が撮りたいか
- Toshio Inose
- 2020年2月27日
- 読了時間: 1分
数年前、吊り雛の先生を取材した。一通りの取材が終わり一休みしていると、先生の旦那さんがお茶を持ってきてくれた。先生が「この人がいてくれるから、私は制作に専念出来るんですよ。」と言っていた。「せっかくだから、ツーショット撮りませんか?」と私が言うと、先生は照れながらも「じゃあ、せっかくだから。」とアトリエで旦那さんと並んで座って写ってくれた。二人とも穏やかな笑顔だった。後日、私は時間が取れなかったので、取材に同行したライターに頼んで、その時の写真をプリントして先生に届けてもらった。「先生、喜んでましたよ。」とライターから聞かされた。
数年後、先生と再会した。先生は「そう言えば、あの時撮ってもらった写真、ちゃんと飾ってあるんですよ。」と言ってくれた。「そうですか、良かったです。」と私が答えると、先生は「あの写真が主人と撮った最後の写真になったのよ。」と言った。最後に先生は「ありがとね。」と言ってくれた。
ギャラリーで不特定多数の人に見てもらえる写真、SNSで知らない人から「いいね!」をもらえる写真、いろいろな写真があるが、私は写っている人やその家族が毎日見てくれて、「いい写真だね」と思ってくれるような写真を撮りたい。
Commentaires