老舗雑誌の廃刊
- Toshio Inose
- 2021年4月15日
- 読了時間: 2分
日本カメラが休刊となった。会社が清算されるので、実質の廃刊。
機材の進歩で撮影のハードルが下がり、間口が広がった写真界隈は、同時に質の低下を受け入れてきたのだと思う。
それは、アマチュアだけの話ではなく、プロも然り。
雑誌の作例カメラマンがいつの間にか「写真家」を名乗っている。アマチュアのグループ展に「プロの写真家(意味がわからんが)」が出展している。写真家が動画を初めユーチューバーを名乗る。撮影仕事のない自称写真家が写真を趣味とした人向けに切って貼ったの知識でワークショップや撮影会を開催する。いずれも、プロとアマチュアの境界を曖昧にする行為だ。
そして、使う機材にもアマチュアとプロの垣根は無くなった。
SNSなどで頻繁で言われる「作品」という言葉、プロでなくても撮れる写真を「作品」と呼ぶようになると、もはやプロとアマチュアの差も区別もない。まして、「プロの写真家」などという意味不明な呼び名が横行すれば、プロであることに意味はなく、アマチュアでもお金をもらって撮影するようになる。(同時に「写真家は生き方である」などという逃げ口上が、職業カメアマンの口から出る)
間口が広がり、写真が広まる可能性と考えれば、これらは良いことでもある。しかし、こうした行為が写真業界の首を絞めていることに、雑誌やそこに寄稿するカメラマン、写真家は気づいていない。もしくは、気づいているのに知らんぷりしている。なぜなら、ごくごく一部の稼げるカメラマン以外は、何も知らないアマチュアからしかお金を出してもらえず、プロとアマチュアの差も区別もないことを知らんぷりして、アマチュアから会費や月謝を集めた方が良いから。
こうしたプロとアマチュアの垣根を無くしてきた写真雑誌やメディアは、当然の帰結として、プロからは見放され、新しい顧客層と期待したインスタ映え世代からは興味すらもたれない。彼らの世代は雑誌を買わないのである。そして、廃刊。
いずれ、カメラメーカーもカメラ雑誌と同じ運命を辿る気がする。誰にでも使えるカメラに魅力はない。プロ機材が乱発されると、誰もそれに惹かれない。スマホで足りるのである。





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